「もし失敗したら…」その不安を手放す:小さな一歩を踏み出すワーク
もしあなたが今、何か新しいことに挑戦しようとしていて、でもなかなか一歩が踏み出せないと感じているなら、それは決してあなただけではありません。
「もし失敗したらどうしよう…」 「完璧にできないくらいなら、最初からやらない方がいい」 「周りの人に、がっかりされるのが怖い」
そんなふうに感じて、行動をためらってしまうことはありませんか。 例えば、職場で新しいプロジェクトへの参加を打診された時。 趣味の集まりで、少しだけ自分の意見を言ってみたくなった時。 家族や友人に、本当は頼みたいことがあるけれど、断られたらどうしようと思ってしまう時。 私たちは、無意識のうちに「もしうまくいかなかったら」という未来を想像し、その不安な気持ちが、私たちの足をすくんでしまうことがあります。
どうして私たちは「失敗」を怖がってしまうのでしょうか
私たちの心は、未知の危険から自分を守ろうとする性質を持っています。 昔から、新しいことや予期せぬ出来事には、リスクがつきものでした。そのため、私たちの脳は「なるべく安全な道を選びなさい」と、私たちに働きかけるようにできています。
この「安全を守る」という心の働きが、現代では「失敗への恐れ」として現れることがあります。 特に、過去に失敗して嫌な思いをした経験があったり、自分自身の価値を「完璧にできるかどうか」で判断してしまったりすると、余計にその傾向が強まることがあります。 自分を責める気持ちが強いと、少しの失敗でも「やっぱり自分はダメだ」と落ち込み、そこから立ち直るのに時間がかかってしまう。そんな経験、もしかしたらあなたにもあるかもしれません。
しかし、この「失敗への恐れ」は、少しずつ和らげることができます。 大切なのは、完璧を目指すのではなく、「もし失敗しても、大丈夫なように準備をしておく」という考え方です。
「もし失敗したら…」その不安を小さくするワーク
ここからは、あなたが感じている「失敗への不安」を少しだけ軽くし、小さな一歩を踏み出すためのワークを3つご紹介します。特別な道具も場所も必要ありません。スマートフォン片手に、ぜひ気軽に試してみてください。
ワーク1:不安の「正体」を見つめるワーク
まず、あなたが今、一歩踏み出せないでいることについて、具体的にどんな「失敗」を恐れているのか、その正体を見つめてみましょう。
- 「もし〇〇したら、一番嫌なことは何だろう?」と問いかけてみる。
- 例えば、「新しい習い事を始めたけれど、ついていけなかったら…?」
- 「職場の人に意見を言ったけれど、理解してもらえなかったら…?」
- 「友人にお願い事を断られたら…?」
- 頭に浮かんだ「もし〇〇したら…」の具体的な状況を、心の中で、あるいはメモアプリに書き出してみてください。
- その「一番嫌なこと」が起きた時、どんな気持ちになりそうか、想像してみる。
- 「恥ずかしい」「情けない」「自分はダメだと感じる」「悲しい」など、正直な気持ちを言葉にしてみましょう。
- その気持ちが、あなたにとって本当に「乗り越えられない」ほどのことなのか、考えてみる。
- 多くの場合、私たちの想像する最悪の事態は、実際に起こるよりもずっと恐ろしく感じられるものです。そして、たとえそれが起こったとしても、多くは時間が経てば解決したり、乗り越えられたりすることに気づくかもしれません。
このワークで、漠然とした不安が、実はそれほど恐ろしいものではないかもしれない、と感じられることがあります。
ワーク2:小さな「もしも」対策ワーク
次に、ワーク1で見つめた「一番嫌なこと」が本当に起こってしまった時の、とても小さな「対策」を考えてみましょう。完璧な解決策でなくて大丈夫です。
- 「もし、本当にその失敗が起こってしまったら、その時にできる一番小さなことは何だろう?」と問いかけてみる。
- 「新しい習い事についていけなかったら、先生に正直に相談してみる」
- 「職場の人に理解してもらえなかったら、一旦引き下がって、また別の機会に話してみる」
- 「友人にお願い事を断られたら、『そっか、大丈夫だよ』と返して、別の方法を考えてみる」
- 思いついた一番小さな行動を、心の中で、あるいはメモアプリに書き出してみましょう。
- その「一番小さなこと」で、少しは気持ちが楽になりそうか、想像してみる。
- 「そうだ、そうすればいいんだ」「何もできないわけじゃない」と感じられたら、しめたものです。
このワークは、失敗が起きたとしても「自分にはできることがある」という安心感を与えてくれます。全てを完璧に防げなくても、小さな対策があるだけで、不安はぐっと和らぎます。
ワーク3:完璧じゃなくてもOK「小さな成功」を積み重ねるワーク
最後に、実際に一歩踏み出すためのワークです。完璧を目指さず、本当に「小さな一歩」から始めてみましょう。
- 挑戦したいことについて、「これなら失敗しても大丈夫」と思えるくらい、目標を小さくしてみる。
- 「新しい習い事を始める」なら、「まずは資料を取り寄せる」や「体験レッスンについて調べてみる」から。
- 「職場の人に意見を言う」なら、「まずはメモに自分の考えをまとめてみる」や「別の話題で少しだけ話しかけてみる」から。
- 「友人にお願い事をする」なら、「まずはLINEで軽く様子を伺ってみる」から。
- 「これならできるかも」と思える、最小限の目標を設定してみてください。
- その小さな目標を、実際にやってみる。
- 目標が達成できたら、「よし、できた!」と心の中で自分を褒めてみる。
- どんなに小さなことでも、目標を達成した自分を認めてあげることが大切です。
このワークは、「失敗しないこと」ではなく、「小さな成功を体験すること」に焦点を当てます。この小さな成功体験が、あなたの自己肯定感を少しずつ育み、「次もやってみよう」という気持ちにつながっていくでしょう。
ワークを続けるためのヒント
ご紹介したワークは、一度試しただけでは劇的な変化を感じにくいかもしれません。でも、それで大丈夫です。
- 完璧を目指さない: 毎日やらなくても、気が向いた時に、できる範囲で試してみてください。
- 失敗してもOK: もしワークをうまく進められなかったとしても、自分を責めないでください。「今日は難しかったな。また今度試してみよう」と、自分に優しく語りかけてあげましょう。
- 小さな変化に気づく: 「少しだけ心が軽くなった」「前より考える時間が減った」など、どんなに小さな変化でも、それに気づいて自分を褒めてあげてください。
おわりに
「もし失敗したら…」という不安を感じやすいあなたは、もしかしたら、とても真面目で、責任感が強く、周りの人への配慮ができる優しい方なのかもしれません。だからこそ、完璧を目指し、自分に高いハードルを課してしまうのかもしれません。
ですが、あなたは、失敗したからといって、あなたの価値が下がることは決してありません。 ご紹介したワークが、あなたの心の重荷を少しでも軽くし、新しい一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。焦らず、あなたのペースで、少しずつ進んでいきましょう。